予防歯科
予防歯科について
虫歯や歯周病などお口のトラブルが発生してから治療するのではなく、症状が発生する前に予防することです。そのためには、自宅で行うセルフケアと歯科医院でのプロフェッショナルケア(歯科医師や歯科衛生士によるケア)の両方が大切です。
当院の診療体制について
当院では、患者様お一人おひとりに質の高い医療を受けていただくために、完全担当医制を導入しております。担当制にするメリットは、毎回担当する人が決まっていないシステムと違い、申し送りの必要がありません。
また、継続して担当することで、症状の変化や状況を理解しやすいといった点があります。お付き合いが長くなることで、患者さんとの信頼関係も生まれ、一人ひとりに合わせたセルフケアの提案もできます。
予防歯科の重要性
一度削ってしまった歯は二度と元に戻ることはありません。
生涯に渡って健康なお口で過ごすためには、いかに健康な歯を守れるかが大切です。そのためには、定期的に歯の検診を受けていただくことがお勧めです。実際の調査結果として、歯医者さんの検診と残存歯数の関係を年代別に比較した「歯科医院のかかり方と残存歯数」のグラフをご覧ください。
「定期検診を受診」の年代の方は、80歳になっても若い頃と変わらない歯の本数を維持しており、逆に「痛い時だけ受診」の方は多くの歯を失っています。歯を失う原因は加齢とは関係なく、7割以上を虫歯と歯周病が占めています。それらを防ぐことができれば、歯を失うリスクを大幅に減少できます。
また、お口に大きなダメージを与える虫歯や歯周病は、初期段階では自覚症状はほとんどありません。痛みに気づいた時には、すでに進行しているケースが多く治療によって歯にダメージを与えてしまうため、最初から虫歯や歯周病にならないように予防することは非常に重要です。
定期健診について
定期健診を行うメリット
- 虫歯、歯周病を防げる
- 健康な歯を長く維持し続けられる
- 痛みに苦しむことが少なくなる
- 健康寿命が延びる
- 全身の病気も防げる
- 認知症になりにくい
- 金銭的な負担を減らせる
定期健診はどのくらいのペースで
通うのが良いのか
個人差がありますが、おおよそ3〜4ヶ月に一度程度のペースです。来院される患者さまは自覚症状がでてからの来院がほとんどだと思いますが、実は痛みや違和感を感じて歯科医院に向かうときには、すでに重症になっているというケースがほとんどです。 そうならないためにも、自覚症状がない虫歯・歯周病の初期段階で予防しましょう。美容院やサロンに行くような感覚で気軽にいらしてください。
定期検診の流れ
診査・診断
レントゲンと照らし合わせながら、お口の中の状況をチェックしていきます。
主に、歯垢や歯石の付着具合、歯周ポケット(歯と歯ぐきの間の溝の深さ)の測定、虫歯・歯周病の有無、噛み合わせや粘膜の状態を観察していきます。
プロフェッショナルケア・
セルフケア指導
歯科医師がお口の中をチェックした後は、歯科衛生士が専用の器具でお口の汚れを丁寧に取り除きます。口の中の環境や歯の性質は一人ひとり違うため、その人に合ったブラッシング方法や歯ブラシの選び方をアドバイスします。
経過観察・メインテナンス
歯科医院に定期的に通うことで、健康的な口腔内環境を維持することができます。当院では、患者さんのお口の健康づくりをしっかりサポートしてまいります。
歯垢、歯石やバイオフィルムについて
歯垢(プラーク)について
歯の表面に付着した白いネバネバした塊のことを言います。
歯垢は水に溶けにくく、歯にしっかり付着しているため、うがいなどでは簡単に落ちず、歯ブラシや歯間ブラシでなければ、きれいに落とすことができません。歯垢は細菌の塊で、1gあたり1000億個以上の細菌が詰まっていると言われています。これを放置しておくと、菌が作った酸が歯の表面のエナメル質を溶かして虫歯を発生させてしまいます。
歯石について
歯垢(プラーク)が唾液中に含まれるカルシウムやリンと結びついて、石灰化した硬い塊の事をいいます。歯磨きがしにくい「歯と歯ぐきの境目」や「歯と歯の間」にできやすく、付着すると歯ブラシでは取れず、歯科医院で取り除いてもらわなければなりません。また、歯石の表面はザラザラしているため、その上にさらに歯垢が付きやすくなり歯周病の原因にもなります。よって、歯垢の段階で正しいブラッシング方法や歯間ブラシなどのセルフケアによって、しっかり取り除くことが重要となります。
バイオフィルムについて
微生物の集合体のことです。数種類の細菌がコミュニティーを作って増殖したもので、細菌が外的要因から守るために作ります。台所や風呂場の排水口などにヌルヌルとした膜ができることがありますが、あれがバイオフィルムです。口腔内の細菌の塊である歯垢(プラーク)もバイオフィルムの一つです。
PMTCについて
PMTCとは
プロによる歯のクリーニングのことを言います。
歯ブラシでは除去できない歯石を除去し、専用の器具を用いて歯面を徹底的に磨き上げます。プラークや歯石は細菌のすみかであり、汚れが残ったままにしておくことは、虫歯や歯周病の原因になります。ご自身で行うセルフケア(歯磨き)の質を高めることも大切ですが、プロのケアを併せて行うことが大切です。
PMTCのメリット
- ご自身本来の白い歯に
- 歯周病や虫歯の予防に
- エイジングケアに
- 病気の予防に
- 口臭の予防に
PMTCの流れ
スケーリング(歯石除去)
歯に付着した汚れを、スケーラーという専用の器具で除去します。
歯面のクリーニング(歯面清掃)
専用の器具とフッ素が配合された研磨剤を使用して、歯の表面の汚れを落とし磨き上げます。
歯面のクリーニング(歯面清掃)
フロスなどを使用し、自分では汚れを除去しにくい部分の汚れを落としていきます。
フッ素塗布
歯面にフッ素を塗って、歯質を強化します。
歯ブラシ、フロス、
歯間ブラシについて
歯ブラシ
子供の歯ブラシの選び方
お子様の場合は、お口が小さいので小さめの歯ブラシがオススメです。
大人の歯ブラシの選び方
大人の方に関しては、個人差があるので担当歯科衛生士にお聞きください。
正しい歯ブラシ使い方、
ブラッシングについて
ハブラシの基本的な持ち方は、鉛筆を持つように握って持つ「ペングリップ」と、手のひらで握るように持つ「パームグリップ」の2つがあります。
「1~2週間でハブラシの毛先が開いてしまう」ような方には、「ペングリップ」がおすすめです。
余計な力が入らず、小刻みに動かしやすいので、隅々まで丁寧に磨けます。
フロス
フロスとは
歯ブラシの毛先が届きにくい歯と歯の間(歯間部)の清掃に用いる清掃用具のひとつで、歯間清掃専用にとても細い繊維を合わせて作られています。
この繊維が歯と歯の間に広がり、間にたまったプラーク(歯垢)を捕らえて取り除きます。
デンタルフロスには「糸巻きタイプ」と「ホルダーつきタイプ」の2種類があります。
フロスが必要な理由
歯と歯の間には汚れが非常に溜まりやすく、虫歯や歯周病になってしまうと治療が難しくなりやすいため、時間がかかっても行う必要があります。
正しいフロスの使い方
①デンタルフロスを40cmくらいに切り、両手の中指に2~3回巻きつけ、15cmくらいの長さにしてピンと張ります。
②両手の親指と人差し指で糸をつかみ操作します。
③使う部位に合わせ、歯と歯の間に挿入します。
④歯肉の少し中まで(スッと入るところまで)デンタルフロスを挿入します。
⑤歯の面を2~3回上下にこすって取り除きます。
⑥歯の面を2~3回上下にこすって取り除きます。
※ 詰め物に引っかかるなどでうまく外せない時は、無理に外そうとせず、一方の指の糸を外して、外側に引き抜くようにしましょう。
唾液検査について
唾液検査とは
唾液検査とは、お口の健康度合いを手軽に検査できるものになります。
唾液検査は、唾液を採取するだけなので、痛みなどはありません。
時間もかかりませんので、手軽に受けていただける検査です。
検査方法について
唾液を採取します
5分程度味のないガムを噛んでいただき、唾液を採取します。これにより、唾液が十分に分泌されているかどうかがわかります。
また、採取した唾液を試験紙につけて、唾液の緩衝能(中和力)も調べます。試験紙に唾液をつけて、試験紙の色の変化をみることで緩衝作用の強さを判定できます。
舌に棒状の試験紙をつけます
舌に棒状の試験紙をつけて、舌の上に存在している細菌を採取します。採取した細菌を培養して、ミュータンス菌とラクトバチラス菌が口の中にどれだけ存在しているのかを知ることができます。細菌を培養するため、結果は後日お知らせします。
検査でわかる事
歯の健康
虫歯菌
虫歯菌が多いと、歯の表面に歯垢(プラーク)が付着しやすく、歯の健康を損なうことが知られています。う蝕原性菌数との関連性が認められているグラム陽性菌群によるレサズリンの還元能を検出しています。
酸性度
唾液の酸性度が高いと、口腔環境は酸性になり、エナメル質などの歯質が溶解(脱灰)しやすいことが知られています。pH指示薬の呈色変化から水素イオン量を検出しています。
緩衝能
唾液には、むし歯菌や食物由来の酸を中和する機能(緩衝能)がありますが、その働きが弱いと、エナメル質などの歯質が溶解(脱灰)しやすいことが知られています。一定量の酸存在下の複合pH指示薬の呈色変化から、酸に対する唾液の中和力を検出しています。
歯ぐきの健康
むし歯菌
歯と歯ぐきの間で細菌や異物が増加すると、生体の防御作用により唾液中の白血球が増加することが知られています。尿検査に用いられている試験紙の技術を応用し、白血球エステラーゼ活性を検出しています。
タンパク質
口腔内細菌や、歯と歯ぐきの間にあるバイオフィルム(プラーク)の影響により、唾液中のタンパク質が多くなることが知られています。尿検査に用いられている試験紙の技術を応用し、色素結合法により総タンパク質量を測定しています。
口腔清潔度
アンモニア
口腔内の細菌総数が多いと、唾液中のアンモニアが多くなることが知られており、口臭等の原因になるといわれています。血液検査で用いられている試験紙の技術を応用し、ブロモクレゾールグリーン(BCG)の発色によりアンモニアを検出しています。
唾液検査はこんな人におすすめ
- 虫歯になりやすい(と思っている)人
- 丁寧に歯磨きしているつもりなのに虫歯になる人
- 将来に多くの歯を残したい人
- 虫歯になりたくない人
- 虫歯が多い(治療済の歯が多い)人
- 効果的に虫歯を防ぎたい人
初診費用の目安
初診時の費用について
初診時のお支払い金額はおおよそ3,000〜5,000円ほどです。
※金額は保険治療(3割負担の方)の2024年8月現在のおおよその金額です。
お支払い方法
保険診療
現金、クレジットカードでのお払いとなります。
自費診療
現金、クレジットカード、デンタルローン、院内分割が可能です。
※お支払い時に受付までお問い合わせください。