歯周病治療
歯周病について
歯周病は成人されているほとんどの方に起こりえる病気です。
しかしながら、症状があまりないことが原因で対処せず、重度歯周病となってから対応される患者様が多いです。
そうなると非常に治療が難しくなり、治療期間と費用がかかるようになってしまいます。
日頃から歯磨きをしていても気付かないうちに進行してしまいます。当院では、そうならないように定期検診(メインテナンス)をお勧めしております。そうすることで歯周病の進行を抑えることができます。
歯周病と歯槽膿漏・歯肉炎
歯周病(歯槽膿漏)とは
歯周病は自覚症状なく進行してしまいます。
実は、歯周病は痛みもなく静かに進行する大変恐ろしい病気です。
細菌がお口の中に定着することが原因で起こる歯茎の赤い腫れ「歯肉炎」から始まり、その後、歯の周りの組織(歯周組織)から徐々に崩壊していき、最終的には歯を抜け落としてしまいます。
歯肉炎とは
「歯肉炎」は比較的軽度の状態であり、治癒、健康な状態への回復が見込みやすいものですが、「歯肉炎」が進行して発症する「歯周炎」は骨(歯槽骨)の喪失を伴いうため、元の状態まで回復、治癒することが難しい病気です。
歯周病になる原因
「歯周病の原因」は、大きく2つに分けられます。
1つ目は、遺伝や体質の問題です。
親御様が歯周病で悩んでいるならば、お子様は小さな時から検診を受け、適切なケアを行うことをおすすめします。
2つ目は、生活習慣の問題です。
喫煙や不摂生による睡眠不足、暴飲暴食などが考えられます。生活習慣の乱れによる過度なストレスは、免疫力を低下させ、口腔内だけでなく全身の健康を損ないます。
歯周病のセルフチェック
こんな症状がある場合は危険です。
- 歯がグラグラしている
- 歯茎から血が出ている
- 口臭がきになる
- 口の中がネバネバする
- 歯が伸びているきがする
- 歯茎が腫れている
- 歯磨きをすると出血する
歯周病と全身疾患
糖尿病との関連性
近年、特に注目されているのが「糖尿病と歯周病」の関連性です。糖尿病は、今や予備軍と合わせると日本人の24.2%(2016年 国民健康・栄養調査より)・日本人の4人に1人が罹患しているとされている国民病とも言われる病気です。
歯周病は、糖尿病を重症化させやすく、血糖コントロールに悪影響を与えやすいと言われています。
早産や低体重児出産との
関連性
妊娠期は身体の変化やホルモンバランスの変化により、お口の中の環境が悪化しやすく、歯周病にもなりやすいとされています。
また、歯周病菌が子宮の筋肉に影響を与え、早産や低体重児出産を引き起こす可能性があるとされています。
肺炎との関連性
歯周病菌が肺に侵入することで、肺炎を引き起こすケースがあることが指摘されています。
心臓疾患・動脈硬化との関連性
歯周病菌が動脈硬化を引き起こしやすくすると言われています。
さらに歯周病のばい菌の影響で血管の中で血栓もできやすくなるため、血管が詰まりやすくなり、歯周病の人はそうでない人に比べて約3倍脳梗塞になりやすいと言われています。
歯周病と口臭
歯周病原菌は口臭の原因となる物質を産生するため、歯周病が進行している方は口臭(腐敗臭、腐ったような臭い)を伴うことが多いです。
歯周病で抜歯をお勧めするケース
すでに重度の歯周病となり、歯周病治療を行なっても改善が見込めないケース。
歯を抜かずに治療するメリット
歯を抜いた後の治療法は様々あります。
しかしながら、自身の歯が最も良いのはいうまでもありません。
また、長い人生のなかで残せる歯に関しては、抜歯を先延ばしにした方が圧倒的にメリットがあります。できることなら歯周病になってしまった歯であっても一生懸命治療を行なって残していく方針です。
歯周病の治療方法
軽度歯周病(歯肉炎・歯周炎)
治療方法:スケーリング
歯と歯ぐきの間の溝には少しずつ歯垢が溜まっていきます。それらが徐々にまとまって硬くなったものが歯石となっていきます。歯石はハミガキでは落とすことが難しいので、歯科医院で専用器具を使って歯石を取り除く『スケーリング』という処置を行ないます。
中度歯周病(歯周炎)
治療方法:ルートプレーニング
歯と歯ぐきの間の溝の深いところに溜まった歯石を取り除くルートプレーニングという処置を行ないます。歯の表面をツルツルにすることで、歯垢が再びつくことを防ぎます。
重度歯周病(歯周炎)
治療方法:歯周外科治療
歯周ポケットが深くなると、歯茎深くに汚れがこびりついているため、そのままでは完全に除去することが難しいです。歯ぐきを切開して歯根が見える状態にして、歯石や感染した組織を取り除きます。次に歯ぐきを元に戻して縫合します。
スケーリング
歯面に細菌のすみかである歯石がついている状態から歯石を除去する治療のことをいいます。
スケーリングで歯石を
除去する重要性
歯石がつくことで、歯周病細菌のすみかを作ってしまうこととなるため、それを除去することで歯周病の進行を防ぐことができます。
歯周組織再生療法
歯周病が進行すると、歯周組織の破壊によって歯を支える力が弱くなり、歯が抜けてしまうこともあります。歯周基本治療や歯周外科処置によって歯周組織の健康を回復することを目指しますが、一度破壊された歯周組織を元の状態に戻すことはできません。
しかし、条件が揃えば歯周組織再生療法によって、破壊された歯周組織を再生することができる場合もあります。この治療法によって、抜歯せずに歯を残すことができる可能性があります。
歯周組織再生療法には、高度な知識と技術、術前術後の厳格な管理体制が必要ですので、どこの歯科医院でも行っている訳ではありません。患者様のご協力のもと、歯科医師、歯科衛生士がしっかりと連携を取り、治療に取り組む「医院力」が必要不可欠です。
歯周組織再生療法で
期待できる効果
歯周病が高度に進行し、歯の周りの骨が溶けてしまったケースにおいて、歯周組織再生療法を行うことで、部分的な回復〜失った組織の多くを改善できる可能性があります。
治療の特徴と効果
・ エムドゲイン
歯周病の進行した歯の歯肉を切開し歯の周りの汚れを取り除き、歯周組織が再生するのに重要な効果を発揮する材料(エムドゲイン・リグロスなど)を使用します。そうすることで、通常の汚れをとる歯周外科処置と比較し効果的に歯周組織の再生を促すことができます。
歯周病治療の流れ
歯周ポケット診査、レントゲン撮影、口腔内写真撮影
歯周病の原因は1人1人異なりますので、治療していく前に検査を行い、1人1人に適した治療を行っていきます。
プラークを除去
歯周病の原因は歯垢(プラーク)なので、プラークを除去し付きにくくすることが治療の基本となります。
歯科衛生士による歯みがき指導や歯間ブラシ、デンタルフロスなどで改善をはかります。
簡単に落とせる歯石やプラークを落としていき、検査にて改善を確認します。軽度の歯周炎の方はここまでで治療が完了します。
歯と歯肉の間に溜まっていた
歯石や歯垢(プラーク)除去
中等度~重度の歯周炎の場合、歯石が歯茎の奥深くまであるため取りきれません。 このような場合は外科的な治療が必要となります。麻酔をしてから歯肉の切開をし、歯と歯肉の間に溜まっていた歯石や歯垢(プラーク)除去します。
メインテナンス
口の中の細菌を完全になくすことは難しく、歯周病は再発し易いので、治療完了後も定期的なメンテナンスが必要となります。 再発防止には患者さん自身による歯垢(プラーク)のコントロールだけでなく、定期的に歯科医師や歯科衛生士による検診や治療を受け、歯をメンテナンスすることが重要です。
一生懸命綺麗にした状態を一緒にキープしていきましょう。
歯周病治療の回数と費用の目安
軽度歯周病の場合
1〜3回程度で終わります。
費用は保険適用内で治療を行えば数千〜1万円程度でおさまることが多いです。
中度歯周病の場合
3〜10回程度で終わります。
費用は保険適用内で治療を行えば約1〜3万円程度です。
重度歯周病の場合
治療回数は個人によります。また、重度歯周病の治療であれば、保険適用外処置をお勧めします。担当医による歯科用顕微鏡を併用した歯周外科処置で確実な治療を行う必要があります。
歯周病を予防するために
必要なこと
歯科医院で行うこと
TBI
歯磨きは患者様自身でできる予防(セルフケア)のため、「歯磨きを正しく行えているかどうか」は、むし歯や歯周病を予防する上で大変重要になります。そのため当院では患者様にまず正しい歯磨きの仕方を知っていただくことから始めています。
プラークを除去
セルフケアでは汚れを取りきることは出来ないので、専門の機会を使って細かい汚れやかたく固まってしまった歯石等を除去します。また、機会的に歯の表面をツルツルに磨くことにより歯が汚れにくくしていきます。
SRP
SRPとは、スケーリングとルートプレーニングという2種類の処置を組み合わせた治療法のことです。
スケーリングではスケーラーと呼ばれる専用器具で不良肉芽や歯石を取り除いていきます。ルートプレーニングでは、歯周ポケット内部の歯石や汚染されたセメント質を滑沢にし、歯の根をツルツルに仕上げていきます。
自宅で行うこと
1日3回、お食事をされた後には必ず歯磨きを行なっていただくことで、歯周病・虫歯の予防に繋がります。また、歯間ブラシなどを併用することでより確実なセルフケアができます。
歯周外科治療
(フラップ手術)
フラップ手術とは (特徴と効果)
進行した歯周病に対する治療方法の一つで、深い歯周ポケット内の歯石や、病変部を除去し、歯ぐきと歯を支える周りの骨を、健康な状態にすることをフラップ手術といいます。
明視野での歯石除去や病変部除去を行うことにより、歯周ポケットを改善し清掃しやすい環境を作る手術です。
フラップ手術を採用する基準
歯周病の基本的治療を行い、それでも歯周ポケット深くまで歯石が沈着し、器具が届かず、取りきれない場合や、取りきれても歯茎の炎症が残り、深い歯周ポケットが改善されない場合に、フラップ手術を行います。
歯周病治療のフラップ手術の重要性
深いポケットが改善できないと、いつまでも歯周病の根本的な治療が行えないため、歯周病の悪化を止められません。フラップ手術を行うことで悪化のスピードを緩めるもしくは止めることができます。
フラップ手術の流れ
しっかりと麻酔をきかせた状態で、フラップ手術に行なっていきます。
必要最小限の歯肉切開を行い、明視野かつ拡大視野(歯科用顕微鏡)を使用し丁寧に汚れを除去していきます。確実に汚れが取れたことを確認後、縫合を行い、止血を確認して手術は完了となります。
初診費用の目安
初診時の費用について
初診時のお支払い金額はおおよそ3,000〜5,000円ほどです。
※金額は保険治療(3割負担の方)の2024年8月現在のおおよその金額です。
お支払い方法
保険診療
現金、クレジットカードでのお払いとなります。
自費診療
現金、クレジットカード、デンタルローン、院内分割が可能です。
※お支払い時に受付までお問い合わせください。
歯周外科
結合組織移植術(CTG) | 77,000円 |
遊離歯肉移植術(FGG) | 77,000円 |
歯肉弁根尖側移動術(APF) | 33,000円 |
歯冠長延長術 | 33,000円 |
インプラント除去 | 110,000円 |